緑内障

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緑内障ってどんな病気?!

緑内障は、眼の圧力が上がることにより視神経(神経線維層)が傷つき、視野が徐々に狭くなってくる病気です。ただ残念ながら今の医学では、点眼薬や手術などで病気の進行を遅らせることは出来ますが、一度失われた視野は元に戻らないと言われています。このため、早期発見・早期治療を開始して、進行を止めることが大変重要です。

最近の緑内障疫学調査の結果、40歳以上の20 人に1人が緑内障を発症していることが解りました。緑内障は徐々に進行するケースが多く、その為に気が付くのが遅れ、受診した時には病状がかなり進んでいることが少なくありません。また、実際に治療を受けている患者さんは2割程度で、残りの8割の人は未治療で放置されています。尚、中途失明の原因として、糖尿病網膜症に次いで2番目に多い病気です。

緑内障になり易い方には、糖尿病・強度近視・加齢などがあります。また、家族の方に緑内障の患者さんがおられると、緑内障になる可能性が一般の方に比べて高いと言われています。

緑内障の検査って?!

緑内障の一般的な検査には、細隙灯顕微鏡検査(隅角鏡検査も含む)、眼圧検査、視野検査、眼底検査などがあります。

1.細隙灯顕微鏡検査(隅角鏡検査も含む)

眼科を受診した際に行う最も基本的な検査で、角膜・結膜・前房・虹彩・水晶体などを観察します。隅角鏡検査では、特殊なミラー付きレンズを用いて、隅角(眼の中の水の排水口の部分)に異常ないかどうかを検査し、緑内障の分類を行う上で重要です。

2.眼圧検査

緑内障の検査のなかで最も基本的で重要な検査です。測定方法には2種類あります。

(1) ゴールドマン圧平型眼圧計

直接目の表面に測定器具をあてて測定する方法です。点眼麻酔の後、フルオレセイン紙(黄緑色の色素の紙)で黒目の表面を染色してから測定します。点眼麻酔をしていますので、触れる感じはありますが痛みはありません。

(2) 非接触型空気眼圧計

目の表面に空気をあてて測定する方法です。直接黒目の表面に器具が触れることはありません。ただ空気が勢い良く噴射されるので、恐怖感を取り除くために事前に瞼を閉じた状態でまず練習をしてから測定を行っております。

眼圧の正常範囲は、一般的には10-21mmHgとされていますが、日本人では正常眼圧緑内障の頻度が非常に高いので、眼圧がこの範囲だからといって安心はできません。人によって視神経の眼圧に対する強さが異なるからです。また、眼圧は朝方に高いことが多いですが、個人によってそのパターンは異なります。

3.眼底検査

緑内障発見のための必須の検査です。視神経乳頭や網膜神経線維層の変化は、視野の異常よりも先に現われますので、緑内障の早期発見、とくに眼圧に変化が現われない正常眼圧緑内障の診断に威力を発揮します。

(1)倒像鏡検査
(2)補助レンズ(90D)を用いた細隙灯顕微鏡検査

視神経乳頭の陥凹(へこみ)の広がりや深さの程度、リムの形状(乳頭陥凹の外縁と乳頭外縁との間の部分で神経線維が存在します)などを立体的に観察します。

(3)眼底写真撮影

正常の場合(左側の写真)、乳頭径を1とした場合、陥凹(視神経乳頭の中の白っぽく見える部分)の径は平均0.4で、0.7以上は5%に認められると報告されています。
緑内障が進行してくると陥凹が拡大し、1に近づいていきます。 さらに進行すると陥凹は深くなり、リムが限局的に薄くなります。この変化は、網膜神経繊維欠損が存在することを示す重要な所見です。 視神経乳頭出血は、リムが薄くなっていることや網膜神経線維層欠損の存在を示しており、この所見が観察された症例では視野進行の割合が高いことも知られています。
乳頭周囲網脈絡膜萎縮は、健常者に比べて緑内障眼で高い頻度に観察され、視野障害の進行とともにその大きさも拡大することが知られています。 網膜神経線維層欠損は、乳頭陥凹の拡大や視野欠損に先行して生じる場合も多く、最も早期に生じる緑内障性眼底変化と言われています。

正常眼底。

 

正常の視神経乳頭(拡大)。

 

緑内障の視神経乳頭(拡大)陥凹が拡大し、耳側のリムが薄い。

視神経乳頭出血(拡大)。

 

網膜神経線維層欠損 ▲で囲まれた部位。

 

緑内障性視神経萎縮(拡大)陥凹が拡大し、色調が蒼白。

4.視野検査

「見える範囲」を測定する検査で、視野の欠損(見えない範囲)の有無や大きさを診ます。緑内障による視野異常の進行パターンは、だいたい一定しているので、視野検査により緑内障の進行の具合を把握することができます。 視野異常の初期には、中心部分の視野は保たれているので自覚症状はほとんどなく、通常は視力も良好です。視野異常が進行して中心部分に及ぶと視力は低下し、さらに進行すると失明に至ります。患者様が視野が狭いことに気が付いた時にはかなり進行してしまっている場合が多いです。残念ながら一旦障害された視野は回復しません。
「疲れるので受けたくない!!」という患者様もおられますが、正確かつ信頼できる視野検査の結果が得られないと緑内障の治療方針や経過観察に大きく影響してきますので、定期的な視野検査へのご理解とご協力のほどお願い致します。
視野検査には、2種類あります。

(1) 動的視野検査(ゴールドマン視野計) 

視野全体を一目で把握することが出来ます。視野障害のかなり進行した例(高度の視野狭窄など)では、後述するハンフリー視野計で真っ黒となり詳細が解り難いのでこちらの方が有用です。
患者様には、ブザーを持って貰い、目は大きく開けドーム内の固視点を見つめたまま動かさず、視標の光を感じたらはっきりと見えなくてもブザーをすぐに押して頂きます。片眼で約10分間くらいかかりますので、楽な姿勢で検査を受けて頂けるように検査台と椅子の高さや位置を調整致します。検査の途中で辛くなった場合には、休憩も出来ますので担当の者にお申し出下さい。瞼が開きにくい患者には、テープで瞼を吊り上げさせて頂くこともありますので、ご了承のほどお願い致します。

(2)静的視野検査(ハンフリー視野計) 

コンピューターで制御された自動視野計。動的視野検査に比べて感度低下の検出能力が高いため緑内障の初期診断に適しています。測定点の感度の変化を数値で知ることができ、長期にわたる客観的データを得られます。MDスロープのグラフを用いて経過の説明もさせて頂いております。検査の説明内容については、ゴールドマン視野計と基本的には同じです。

緑内障の進行パターン

患者さんの目から見たイメージ像

MDスロープ

MD(Meen Deviation)は、全体にわたる平均的な視野欠損の程度を表しています。正の数値は、平均感度が年齢補正した正常人の平均値以上であることを意味し、負の数値は平均値以下であることを意味しています。この患者さんの場合、2001年12月頃から両眼共にMDは低下し始め、左眼はグラフが概ね平坦となり悪いなりに安定しています。一方、右眼はグラフが不安定でゆっくりと右肩下がりとなり、さらに悪化傾向を示しています。

視神経乳頭陥凹拡大と言われたら?

人間ドックや健康診断などで眼底写真を撮って頂いた後、視神経乳頭陥凹(かんおう)の拡大を指摘され、眼科で詳しく診てもらってくださいと受診を勧められる患者さんがおられます。
簡単に言うと、緑内障の疑いがあるということです

●視神経乳頭の陥凹とは?

視神経乳頭の真ん中は誰でも少し凹んでいて、その凹みのことを「視神経乳頭陥凹」といいます。しかし、その凹みが標準よりも大きい場合、「陥凹拡大」と判定されます。言い換えると、その凹みが多くの場合3割以内であり、7割を超えるものが要注意で全体の5%と報告されています。

正常の視神経乳頭陥凹

視神経乳頭陥凹拡大

●なぜ陥凹の拡大は起こるのか

緑内障は、眼圧に圧迫されて視神経の繊維が少しずつ少なくなり、視野の中に見えない部分が生じる病気です。緑内障のために視神経の繊維が少なくなると、神経層の厚みが薄くなるので、乳頭の陥凹が大きくなります。

●視神経乳頭陥凹拡大は3タイプ

①緑内障
②生理的視神経乳頭陥凹拡大
 異常がない(治療の必要がない)のにも関わらず、生まれつき陥凹の拡大を認
 めるものです。
③緑内障以外の病気
 強度の近視、視神経低形成、前部虚血性視神経症、糖尿病網膜症、網膜静脈
 閉塞症、脳腫瘍などがあります。

視神経乳頭陥凹の拡大を指摘されたら、自覚症状がなくても再検査を受けて、緑内障か、それとも生理的なものかを調べる必要があります。
そのため、当院では、静的視野検査や三次元眼底解析検査OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)を行い、早期発見・早期治療に努めております。

病的なものはではなく、治療は必要ないこともありますが、視神経乳頭陥凹の拡大は小さくなることはありませんので、6ヶ月から1年に1回は、精密検査を受けるようお薦めしております。

新しい医療機器”OCT”を導入しました

OCTとは!?

OCT(OpticalCoherenceTomography:光干渉断層計)は、眼科領域において主に網膜の断層像を撮るのに使われています。 最近では機器の飛躍的な進歩により、緑内障診療にも欠かせないものとなってきており、当院では平成24年4月より導入を致しました。
5年前に導入したGDxアクセスは、網膜神経線維層の厚さを測定する緑内障診断装置で当時としては最新鋭でしたが、この度導入したOCTは、 その機能に加えて極早期緑内障を検出する解析プログラムを搭載しており、さらに黄斑部の断面図も観察できる器械です。

OCT導入の理由

導入を決めた理由は、加齢黄斑変性症と緑内障という中途失明原因の上位に位置付けられている二大疾患を早期発見することにより、 これらの病気で「見え方の質(Quality of Vision)」の低下に苦しむ患者様を一人でも減らしたいという思いからです。

OCTの導入でどうなるの?

この度のOCT導入により、当院の緑内障診療と網膜診療のレベルが確実に上がったことを実感しています。
いずれも早期診断が可能となり、経過観察にとても有用です。画面上に映し出される情報量は非常に多いのですが、検査結果のカラー表示が見やすく、 患者様へのインフォームドコンセントの手助けとなっています。
GDxアクセスでは、検査時間が意外と長く、検査を受ける体勢が辛いとの声がありましたが、 OCTでは「こちらの器械の方が楽です」とおっしゃって頂いております。

1. 網膜モード

院長による眼底検査や眼底カメラ撮影など従来の診察だけでは解りにくい網膜(カメラに例えるとフィルムの部分)の状態、 特に黄班部(網膜で最も視力に関係する大事な部分)の断面を観察することにより、網膜疾患や黄斑部疾患の早期発見、 その治療方針の決定や治療効果の判定に役立てることが出来ます。
OCT検査が力を発揮する代表的な疾患は、加齢黄斑変性、黄斑上膜、黄斑円孔、黄斑浮腫などです。

正常眼底
加齢黄斑変性
黄斑前膜
黄斑円孔
網膜静脈分枝閉塞症

緑内障モード

乳頭周辺の網膜神経線維層の厚さを測定し、GCA(網膜神経節細胞層・網膜内網状層のみを取り出して選択的に想定したもの)という 新しい解析プログラムも搭載しており、視神経障害が始まっていても通常の視野検査では検出できない極早期緑内障の検出も可能となって来ています。

正常眼底
網膜神経線維層の厚さ
GCA
正常眼圧緑内障(右極早期?・左初期)

右視神経乳頭は、一見正常のように見えるのですが。。。

左視神経乳頭の陥凹拡大と下方リムの菲薄化、
さらにその領域に一致した網膜神経線維層の欠損を認めます。

網膜神経線維層の厚さ

右眼は正常ですが、左眼は、下方リムの菲薄した部位と網膜神経繊維の菲薄化(赤色)が一致しています。

GCA

右眼は広範囲にわたり菲薄(赤色)し、左眼は下方リムの菲薄した部位に一致して菲薄しています。

ハンフリー静的視野検査

右眼は正常範囲内で経過も安定しています。

左眼は中心閾値が低下し、増悪傾向を呈しています。

右正常眼圧緑内障(中期)

右視神経乳頭の陥凹拡大と下方リムの菲薄化。

左視神経乳頭は正常。

網膜神経線維層の厚さ

左眼は正常ですが、左眼は、下方リムの菲薄した部位と網膜神経繊維の菲薄化(赤色)が一致。

GCA

左眼は正常で、右眼は下方リムの菲薄した部位に一致して菲薄(赤色)しています。

ハンフリー静的視野検査

右眼は、上半盲に近い状態で増悪傾向を呈しています。

左眼は正常範囲内で経過も安定しています。

最後に

当院では、一般的な眼圧検査・眼底検査(眼底カメラも含む)・視野検査などをおこなった上で、病状に応じてOCTもおこない、 これらの検査結果を総合的に判断して網膜診療と緑内障診療にあたっております。
また、私たちは、常に新しいものに目を向け、進歩する医療と患者様のニーズに応えるためスタッフと共に向上心を持って診療に取り組んでいます。
器械が変わったことにより、戸惑っておられる患者様もおられるようです。
もしご質問等がございましたら、最寄りのスタッフまたは院長までお気軽にお尋ねになってください。

1.はじめに

最近の緑内障疫学調査では、眼圧は正常な値である10~21mmHgの範囲にありながら、既に緑内障にかかっている“正常眼圧緑内障(NTG)”の患者さんが多いことが解りました。
また、視野検査で緑内障が発見された時には、既に40%近くもの網膜の神経線維層が欠損していることも解り、眼圧検査や視野検査では、緑内障を早期に発見することが難しくなってきました。緑内障を早期発見する為には、眼底検査が最も有用だといわれています。しかし、各眼科医の眼底評価には、個人差が存在するため緑内障性眼底変化を評価・判定する方法の標準化の確立が望まれていました。

2.こんな検査機器

GDxアクセスは、網膜の神経線維層の厚みを測定する最新の緑内障診断装置で、緑内障の早期発見と経過観察を行う目的で開発されました。 視神経の検眼鏡的検査は、眼圧検査や視野検査のように検査結果を数字として捉えることが出来ないので、医師の主観的な判断に委ねられています。当院が導入したGDxアクセスは、検査結果を数字として捉えることが出来ます。また、同年代の正常者の検査結果とコンピュータで統計解析されますので、患者さんの神経線維層の厚みが正常範囲内にあるのかどうかを客観的に判断することも可能です。
さらに、検査結果はコンピュータに保存されるので、次回の来院時に再度GDxアクセスで測定して病状が進行しているのか安定しているのか、またどの部位が進行しているのかなどをカラーマップやグラフを用いて容易に確認出来るため治療方針を決定する上でも非常に役立ちます。この装置は、従来の視野計で異常が検出されるよりも前の段階で緑内障を診断することも可能です。当院では、平成19年1月よりGDxアクセスを導入し、緑内障診療に役立てています。

3.痛かったり、しんどくないの?!

緑内障の診断のためには、眼圧測定・眼底検査・視野検査を必ず行いますが、特にご高齢の患者さんにとって5分以上の集中を要する視野検査を行うことは困難な場合も多く、検査中の疲労により測定結果が不安定になることもあります。特に緑内障の病期が進行した患者さんの場合、片眼だけで7~8分費やすということもよくあります。
眼圧検査のように眼に風が当たる事もありません。眼底カメラのようにフラッシュの光による眩しさもありません。視野検査のようにドームの中を覗きながら一点に集中して応答スイッチを押す必要もありませんので、患者さんの負担は少なくなっています。ただ、覗き込んだレンズの中に見える小さく点滅する光を見ているだけで、5分程度で終了します(初回に限りもう少しお時間が掛かります)。

 
 

4.検査結果は?!

参考までに正常眼と緑内障眼のパターンの比較を掲載しておきます。

最後に

眼底検査・静的視野検査・GDxの検査結果を症例毎にお示し致します。

当院では、一般的な眼圧検査・眼底検査・視野検査・隅角鏡検査などを行った上で、最新のGDxアクセスも行い、これらの検査結果を総合的に判断して緑内障診療に取り組んでおります。もしご質問等がございましたら、お気軽に院長までお尋ねになって下さい。

両正常眼圧緑内障(疑)

両正常眼圧緑内障(両初期)

両正常眼圧緑内障(右中期、左初期~中期)

左正常眼圧緑内障(中期)

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