子どもさんが近視といわれたら?!
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低濃度アトロピン点眼治療
●はじめに
近年、全世界的に近視人口が急増し、なんと2050年には全世界人口の約半数である約50憶人が近視になるとの試算がされています。日本においては、1980年から30年間で裸眼視力0.3未満の小学生の頻度が2.6倍に増加しました。小児の近視の割合は年々増加しており、小学生の約4割、中学生の約6割、高校生の約7割が裸眼視力1.0未満と報告されております。片親が近視の場合、近視の発症リスクは2~3倍、両親ともに近視の場合は6倍まで上がります。さらに、昨今の児童をとりまく環境要因(外遊びの減少、スマホの普及など)が加わり、近視の進行スピードが速くなります。
近視が過度に進行すると、将来的に視力に影響を与える網膜剥離・緑内障・黄斑変性などになる可能性が増えてしまいます。
近視進行抑制治療の目的は、小児期にできるだけ近視が強くなるのを避けることで、将来の見え方を守り、目の病気になる可能性を低下させることです。
近視進行抑制治療には、現時点で主要なものとして3つの方法があり、①低濃度アトロピン点眼液、②多焦点コンタクトレンズ、③オルソケラトロジーです。
当院では、低濃度アトロピン点眼液および多焦点コンタクトレンズによる治療を採用しております。
●低濃度アトロピン点眼について
近視を抑制する効果があるものとして瞳孔を拡げる1%アトロピンという点眼薬があります。ただしこの濃度では、1週間ほどのまぶしさや手元が見えにくくなるなどの強い副作用があり、日常生活には適さないとされてきました。
2012年、シンガポール国立大学の臨床試験で0.01%という低濃度アトロピン 点眼が、59%の近視抑制効果を示すことを報告しました。その後2019年に報告 されたLAMP studyでは平均抑制率は27%、眼軸長では平均12%の抑制効果が 得られています。また、日本の7大学共同研究であるATOM-Jでは、2年間の 抑制率は屈折度15%、眼軸度18%と報告され、どの研究でも一定の効果は得られております。
当院では、日本初の厚生労働省承認薬であるリジュセア®ミニ点眼液0.025%を使用しております。
●低濃度アトロピン点眼の働き
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピントが網膜に合わなくなります。近くで見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、いったん眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要です。低濃度アトロピン点眼には、眼軸長を伸展させる働きをブロックする効能があると言われています。

●リジュセア®ミニ点眼液0.025%について

①有効成分:
リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、アトロピン硫酸塩水和物を主成分とする点眼薬です。
②効能・効果:
この点眼薬は、眼球の前後の長さが伸びるのを抑えることで近視の進行を抑制することが期待できます。プラセボ(薬効成分が入っていない点眼)と比較して2年後には、近視度数の増加を約39%抑制、眼軸長の伸びを約32%抑制したと報告されました。リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、厚生労働省承認薬のため品質、有効性および安全性が保証されています。
③副作用:
主な副作用として、羞明(まぶしく感じる)、霧視(かすんで見える)などが報告されています。これらの症状その他にも何らかの異常が現れた場合には、直ちに医師にご相談ください。
④用法・用量:
通常、1回1滴を1日1回就寝前に点眼します。必ず指示された使用方法に従ってください。
⑤対象となるお子さま:
*近視発症早期から開始するのが望ましく、具体的には屈折値が正視から近視側に振れ出したら考慮すると報告されています。
*近視が進行し易いと思われる方
例えば、前年の学校検診で近視を指摘され-0.75D以上の度数進行がある、親御さんが近視である、近見作業(ゲーム・スマホや読書)を長時間するなど。
*本剤は投与時の年齢制限は特になく、個々の症例に応じて適応の判断を行います。
最低でも2年間以上、可能なら高校くらいまでの継続が推奨されます。
⑥治療を受ける際の注意点:
《治療開始前》
次の方は、この点眼薬を使用することは出来ません。
当てはまる方は、医師または看護師にお知らせください。
①過去に本剤に含まれる成分で過敏症のあった方
②緑内障、狭隅角や浅前房など眼圧上昇の素因がある方
また、抗コリン作用を有するお薬を服用中の患者様には注意が必要ですので、
現在服用中のお薬があれば、必ずかかりつけ薬局の薬剤師にご確認ください。
本治療は、近視の進行を抑えることを目的としています。完全に近視の進行を止めることはできません。この治療は、視力を回復させるものではありませんので、近視の程度に応じて眼鏡等での視力矯正が別途必要となります。
《治療中》
点眼後、一時的に目がかすんだり、まぶしく見えたりすることがありますので、必ず就寝前に点眼してください。就寝前に点眼しても、翌日までまぶしく見えることがあります。症状が回復するまでは落下の恐れがある遊具の使用、自転車や自動車などの運転、機械の操作は行わないでください。必要に応じてサングラスをかけるなど、太陽の光や強い光を直接見ないようにしてください。
治療期間中および中止後は、定期的に眼科を受診して、近視の進行状況を確認する検査を受けてください。
●リジュセア®ミニの検査・診察費について
近視の進行を抑制するリジュセア®ミニ点眼(低濃度アトロピン点眼)をご使用中のお子さまの検査および診察費について、2026年6月1日から年2回まで選定療養の対象となります。
《選定療養とは?》
選定療養とは、保険診療を行う中で、例外的に保険診療と保険適用外の診療を組み合わせることが認められている制度です。リジュセア®ミニは薬価収載されていない医薬品のため、点眼薬の費用はこれまで通り自己負担となります。
一方で、近視に関する検査や診察については、制度の範囲内で保険診療と併用して受けることができます。
《当院での対応について》
2026年6月1日以降は、視力検査や眼軸長検査などの検査・診察費について、年2回まで保険診療で受けていただけるようになります。
当院では、これまでと同様に3ヶ月ごとの定期検査を継続する予定です。
そのため、年4回のうち残りの2回は、再診料などの保険診療で検査および診察を受けていただくことができます。
《点眼薬代について》
保険診療の対象となるのは、検査および診察費のみです。
リジュセア®ミニ点眼薬の費用(当院では1箱4,200円・税込)は、これまで通り自己負担となりますので、あらかじめご了承ください。
●治療の流れ
治療の対象であるかを検査で確認します。
正確な屈折の度数を測定するために瞳孔を拡げるサイプレジンという点眼で検査をするので、1~2日ほど見えづらい状態が続きます。
サイプレジン点眼による検査については予約が必要です。
《初回検査》
*屈折(近視の程度)、眼軸長、視力、眼疾患の有無などのチェック、治療内容の説明を行い、点眼薬の使用を開始します。
*点眼後の副作用であるまぶしさ、手元の見えにくさ、目のかゆみ、充血、動悸、その他の気になる症状がありましたら当院までご連絡ください。
《1ヵ月後検査》
*検査、点眼薬使用後の状況を確認し、異常がなければ点眼薬を追加処方します。
*点眼薬による異常が認められた場合は治療を中止する場合があります。
《定期検査》
*検査、点眼薬を処方します。
*3ヵ月毎に定期検査を行います。定期的に視力や眼軸長等を検査し治療を評価します。
詳しくお知りになりたい場合は、下記をご覧になってください。
●リジュセアミニ点眼液0.025%治療をはじめられる患者さまへ
https://www.santen.co.jp/medical-channel/tools/shizai/myopia/TA181_myopia.pdf
●親子で学ぶ近視サイト
●子どもの近視情報WEB
霰粒腫とは?!
まぶた(眼瞼)にあるマイボーム腺の出口が詰まることにより、その中に分泌物が溜まり慢性的な炎症が起きる結果、肉芽腫という“しこり”ができる病気です。
麦粒腫と異なり、細菌感染を伴わない無菌性の炎症です。
霰粒腫の症状
症状は、眼瞼の腫れや異物感です。典型例では痛みも赤みもなく、まぶたにコロコロとした“しこり”を触れます。
霰粒腫の治療
“しこり”が小さければ、自然に吸収されることもあります。
大きい場合は、副腎皮質ステロイド薬を“しこり”に注射したり、手術で摘出したりする必要があります。 高齢者では悪性腫瘍との鑑別が必要であることもあり、注意が必要です。
急性(炎症)霧粒腫とは?!
霰粒腫が形成される過程でマイボーム腺が詰まり、その中に分泌物が溜まり細菌感染も伴うものです。
急性(炎症)霧粒腫の症状
通常の霰粒腫よりも腫れ、赤み、痛みが強いのが特徴です。に炎症を伴った場合は、内麦粒腫と厳密に見分けることは難しいです。











